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2006/08/02

諏訪内晶子「ヴァイオリンと翔ける」

 諏訪内晶子の「ヴァイオリンと翔ける」(日本放送協会刊、初版1991年)

 図書館に行ったついでに借りてきた。何しろ電車まで使って行ったので限度いっぱい借りないと損なもんで。
 さて、この人、美人ヴァイオリニストとして知ってはいたが聴いたことは無い。どっちかってゆうとルックス先行の人かと思っていた。(ソリストは美人の方がデビューしやすいよねー。その方が売り上げに差があるだろうから仕方ないんだけど。)
 もっともエリザベート王妃国際音楽コンクール2位、チャイコフスキー国際音楽コンクール1位だから実力はそれなりにあるのだろうけど。
 そんな彼女、優勝してしばらくの間コンサート活動をした後、活動をお休みしてジュリアード音楽院に留学していた。
 そのジュリアード時代に書かれた本。
 コンクール優勝者として旬の間稼ぎまくり代わりに消耗し尽くし音楽の表舞台から消えて行く人も多い中で、彼女はもっと深く音楽を学ばなければならないことに気付き留学したのらしい。
 この本から伝わってくるのはそんな彼女の音楽に対する真摯な姿勢。美人ゆえのぼくの先入観を見事に覆してくれた。
 教えを乞うた巨匠達の言葉の数々が身に染みる。
・・・
 巨匠達なら誰にでも同じようなことを言ってるのかも知れないが、彼女がそれらの言葉の一つ一つを糧として精進しているのなら、彼女もまた一人、音楽を究める孤独な道を歩いているのだろう。
 ベルクのバイオリンコンチェルト-一人の天使の想い出のために-をめぐるエピソードも興味深い。
 この曲をベルクに依頼し初演者でもあるクラスナーを訪問する話はコチラにも書かれているが、このエピソードに関わる人たち、ベルク、シェーンペルク、クラスナー達の音楽にかける純粋で真摯な姿勢に感銘を受ける彼女もまたそういった芸術の究極に位置する宇宙的真理みたいなもの(言葉にすると陳腐かも知れないけど)を追い求める宿命にあるのかも知れない。現在の彼女の演奏がどのようなものかよく知らないが、少なくとも音楽に対する気持ちは本物だと思う。そう思いたい。
 この本を書いた時は彼女がまだ20台前半の時だから、夢と希望、そして一生音楽を学び続け究めるという決意がこめられているのだろう。
 それにしても年齢の割にはずいぶん大人だと思う。若いうちから世界の巨匠たちと接していれば無理もないが。
 今では件のベルクもレパートリーに加えているようだが、CDは出していないようだ。今の力量や心境がどう変化しているか分からないが、機会があれば一度演奏を聴いてみたいものだ。
 正直言って、不倫・略奪婚とかスキャンダラスな噂が多くて(美人ソリストには愛人疑惑は付き物だけど)、この文章を書いていても結構悩ましいのだが、演奏家としては私生活は破綻していても演奏さえ優れていれば、そんなことはどうでもいいと思う。あんまり聴いてないのにそんなことを言うのも何なんだけどね。もっと言っちゃうと、この本に書いている音楽に対する純粋な気持ちを今も持ち続けているなら、実演が大したことが無くてもそれはそれで仕方ない気もする。勉強し続けてくれよ、ということで。
 病気でこの春の公演をキャンセルしたらしいけど、一日も早い本復を祈る。

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