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2009/12/15

キム・カシュカシャン:『川よ、川よ』

 まずはお目当てのカシュカシャンの「川よ、川よ~」を聴く。国内版はつい先日の発売だったと思うが、原盤はEMCからは2009年前半に発売するとアナウンスされていながら8月になってようやく出た模様。

 タイトル曲「川よ、川よ(Neharot Neharot)」は献呈と世界初演がカシュカシャン。東京国際ヴィオラコンクールを兼ねた今年のヴィオラスペースでカシュカシャン自身によって日本初演された曲。(その時の感想→ヴィオラスペース2009 ガラ・コンサート第2夜
 オリヴェロはイスラエルの女性作曲家であり、彼女のホームページによるとニューヨーク滞在中に観たレバノンのヒズボラとの戦闘のニュース映像に触発されたとあるが、常に戦争の最大の被害者である紛争地域にあるすべての女性と子供たちに捧げられている。
 テープで流される女性の嘆きの歌をのせてヴィオラ・ソロとオーケストラのヴィオラ・パートがゆらゆらと揺れさざめき流れていく。ヘブライ語で川を意味するneharの語源はnehara=降り注ぐ光(おそらくはさざ波のきらめく光からの連想で川になったのだろう)であり、それは希望をも暗示するという。

 Paul Griffirhsという人が解説でうまいことを書いている。曰く「ヴァイオリンの風景はハイウェイに似ている。何世紀も洗練されてきた分野だ。ヴィオラのそれはもっとオープンな空間、砂漠や荒野だ。ヴァイオリンにおけるバッハの無伴奏作品、ベートーヴェンのソナタのような明確なランドマークはない。ヴィオラ弾きは自身の道を切り開くしかない。」
 望むと望むまいとヴィオラ弾きは未開の地を自らの手で切り開いていくほかないのだ。
「カシュカシャンは自分の道を歩いているのだ。バッハからベリオ、ネイティブアメリカン、スペイン、ハンガリー、彼女の先祖であるアルメニアと。」
 このアルバムに収められているのは、タイトル曲の作曲者であるベティ・オリヴェロとエイタン・スタインバーグがイスラエル、コミタスとマンスリアンがカシュカシャンのルーツでもあるアルメニアの出身。
 前にも書いたけど、カシュカシャンは近年マンスリアンを良く取り上げており、マンスリアンもそれに良く応えて多くのヴィオラ曲を書いている。

 アルバムの解説は取りあえず、『はた迷惑な微罪』さんを御覧下さい。

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