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2010/01/22

戸川純:「玉姫様」

 先日、CDの整理をしていたら戸川純の「玉姫様」が出てきた。
 今から25、6年前、時代のキーワードは「ビョーキ」だった。
 社会全体が病んでいたのかもしれない。
 僕も「ビョーキ」とか「ネクラ」と言われることが多かった。
 馴れ合い的な人間関係にはどうしても馴染めなかった。
 やたら群れたがる人達が理解できなかった。
 世界と隔絶し疎外感を感じていた。
 一生自分を理解してくれる人は現れないのではないかという不安と絶望と、孤独であることに耐えながら生きていた。

 戸川純が「玉姫様」でブレークした時は大衝撃だった。地方の片田舎に住んでいれば東京のアンダーグラウンドシーンなど知る由もない。パンク、ニューウェーブ、テクノといった尖がった音楽を細々と聴くだけだった。そんな時、TV画面に映ったのはトンボの羽をつけ、髪はボサボサ、焦点が定まらない瞳で、ベルカントを取り混ぜ狂気の歌を歌う少女だった。(鳥居みゆきを1000000倍可愛くした感じというと言い過ぎだろうか)
 周りの人たちはキワモノとして面白がっているだけだったが、僕は妙にシンパシーを感じたのだった。
 そこには商業音楽の世界に取り上げられながらも、自己と異なる異質なものを「ビョーキ」というラベルを貼って排除しようという俗世界を超越して、己の信じる芸術を追求しようとする孤高のアーティストの魂が見えたからかも知れない。

 1曲目の「怒涛の恋愛」やフォルクローレに日本語詞をつけた「諦念プシガンガ」、パッヘルベルのカノンに詞をつけた「蛹化の女」が未だに耳に残っているのはそれだけインパクトが強烈だったのだろう。
 改めてタイトル曲の「玉姫様」を聞き直すと音程が不安定だったりする。ベルカントと地声を絶妙に使い分ける歌唱力の持ち主であれば、これは崩壊寸前あるいは崩壊を承知の上での熱唱なのだろう。

 実家に帰れば「玉姫様」やゲルニカのLPや、ライブのビデオもあるはずだがベータだからもはや再生できないね。
 それにしても、この文を書いていて改めて気付いた。彼女は未だに僕のミューズなのだと。

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