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2010/05/24

ヴィオラスペース2010 公開マスタークラス

 昨日は毎年恒例のヴィオラスペース公開マスタークラス行ってくる。
 直前にホームページを見るとプログラムが公開されていて、講師も若返っている。大御所たちは大阪で、東京では去年のコンクルールの入賞者二人を始め中堅演奏家が講師を務める由。大先生たちの言葉も重いが、先生によっては言うことのパターンが決まってたりするのでこれはこれで新鮮でいいかも。

簡単に聴講メモ

受講生:大島亮、講師:ディミトリ・ムラト、曲:リゲティ無伴奏ヴィオラソナタ
 大島さんもうマスタークラスは卒業しようよという感じもする出来レースみたいな顔合わせだけど、それだけマスタークラスもハイレベルにしようという主催者の意向なのか。引っ張り出された大島さんも可哀想という気がしないでもない。でもおととしあたりペンデレツキを弾いてたし結構こういうのが好きなのかも。

 難しい楽章で良く弾けていたが、やっていないことが幾つかある。まず微分音(四分音)がそう。(平均率から)音程が外れているように聞こえないといけない。この微分音の取り方だが、この楽章はFの(自然)倍音を使って書かれているので(楽譜を良く見たら書いておりました。。。)常にFの音が頭に鳴っているとルーマニアの雰囲気が出るのではないか。
 もう一つやっていないことが、この楽章のタイトルであるHora LungaはSlow Danceという意味だが、踊りの雰囲気が出ていなかった。この曲はルーマニア民謡やラジャスタン(インド)の音楽の影響を受けている(これも楽譜に書いてあった。他にもジプシーやらアンダルシアの影響があるようだ)。四度の音程とフレーズが円弧になっているのが重要。
 講師であるムラト氏はアルペン・ホルンをイメージして弾いている由。
 またバッハと同じく奥が深いので楽譜を何度も読むこと。ムラト氏もこの曲に取り組んで9年になるが未だに発見がある。テヌートとアクセントに気をつけて。テヌートやアクセントはそれらに特徴があるタベア・ツィンマーマンをイメージしているのだろうか等(この曲の一楽章と六楽章はタベアに献呈されており全曲初演もタベアによって行われている)。勉強する時は違いを意識して声に出して歌ってみるとよい(この日も何度か声に出して歌わせていた)。しかし正解はない。
 この曲は東欧的で原始的・素朴だが、それは難しい。西欧音楽の今まで受けてきた教育をすべて忘れて欲しい。イメージは東欧の農民、田舎のおじいちゃん。
 二楽章のループも少々。リゲティはジャズ・ヴァイオリニストであるステファン何とか(ステファン・グラッペリ?)の影響を受けている。リズムが複雑だが気を付けて(この楽章は8(5+3)/16と10(4+6)/16の小節の繰り返しになっていて、要は18(5+3+4+6)/16でリズムが複雑)。ダウンビート、オフビートは同じようにアクセント記号が書いてあっても表情が変えられる。
 FFは音量ではなくワイルドに、Pはコントロールして、そのコントラストに気をつけて。
 この曲は一・三・五楽章がエスプレッシボで二・四・六楽章は頭脳的、機械的(ただし狂った機械。100台のメトロノームのための曲を書いたりした人ですからね)

受講生:小関妙/小関郁/深澤麻里/小野木遼、講師:鈴木康浩、曲:バルトークの弦楽四重奏曲第2番

 このメンバーは去年からということだが、けっこう仕上がってた。本番も経験済み?って質問にははにかんで答えなかったけど、芸大定期とかで演奏してるではないですか。なので主にアンサンブルの細かい指摘。
 ヴァイオリンの小関妙さんと郁さんは双子らしい。双子で芸大ってのも珍しいけど(のだめの鈴木姉妹みたいだ)妙さんがボーイッシュで郁さんは女の子っぽい感じで双子ながら個性があって面白い。このメンバーで長く続けてほしいわ。
 火曜のコンサートでは全曲弾いてくれるのかしら。

受講生:高山愛、講師:篠崎友美、曲:エネスコ演奏会用小品

 mp~mfの範囲でしか弾いていない。気持ちが伝わってこない。。。細かい指摘が多く普通のレッスンのよう。その曲を勉強中以外の人にもためになる話をもう少ししてくれた方が良いのでは。。。不覚にも爆睡したので省略。
 篠崎さんが江藤俊哉先生に「ヴェルベットの服は着ないで下さい(音を吸収してしまうから)」と言われた話のみ記憶に残っている。。。

受講生:福田道子、講師:セルゲイ・マーロフ、曲ショスタコーヴィチのヴィオラソナタ

 この曲はショスタコーヴィチの最後の作品であり、彼の内向的な性格、孤独感が滲み出しているので冒頭はそれを表現して。
 セクション(の区切り)を意識して。立体的に。主旋律をPfに譲るところは控えめに。Pfはセッコ/レガートのコントラストを明瞭に。ショスタコーヴィチは意外や古典的な人なので三個スラーの最後は古典的に音量控え目に。
 セルゲイ君、甘いマスクで、ヴィオラ界の貴公子になりそう。エレベーターで乗り合わせた女子学生もセルゲイ大好きのようでした。

受講生:深澤麻里、講師:アントワン・タメスティ、曲ヒンデミットの無伴奏ヴィオラソナタOp.11-5

 弾きとおすだけでも難しいであろう難曲ながらそれなりに弾けており、講師も開口一番「コングラチュレーション」と言っていた。
 自分は曲を理解しているだろうから、次のステップは客が理解しやすいよう分かりやすいように演奏することだという。
 特に20世紀の作品は作品のために弾く、作品を理解してもらうために弾くことが大切。では、クラシックを聴いたことがない人、ヴィオラを知らない人にヒンデミットを理解してもらうためにはどうしたらよいか?
 まずはストーリー・物語を作ること。それを楽譜を元に作るにはどうしたら良いのか。ヒンデミットが尊敬し到達目標としていたのはバッハ。この曲もイントロ、サラバンド、メヌエットあるいはスケルツォ、シャコンヌというように構造が古典的になっている。
 テンポ感が重要。無伴奏の時にどうやってテンポ感を維持するか。美しく弾くことも重要だが、そのために楽譜から離れていいかどうかは熟慮を要する。
 音色・ダイナミクスは重要。pppからffまで7段階ある。mpとmfの違いは分かりやすいが、mfとfも同じくらい違うはず。
 ダイナミクスを元に曲の構造を理解すること。
 多声の部分でもメロディーであることを忘れずに。
 聴衆を最後まで連れて行ってほしい。

 せっかく受講曲を事前に発表してくれたのでなるべく楽譜を持って行けば良かった。そういえば去年だかのアンケートで事前に曲を発表しろと書いたのは自分だっけか。

 仕事もけっこう忙しいので今日のマスタークラス二日目は行かなかった。

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